雑学
更新日:2023年04月03日

半導体とは?種類や身近な使用例、情勢と業界の今後

半導体とは?種類や身近な使用例、情勢と業界の今後

※この記事は6分で読めます。

「半導体ってどんなもの?」
「半導体がどのようなことに役立つのか知りたい」
など、半導体に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

半導体は、私たちが使うスマートフォンやパソコン、テレビなどさまざまな電子機器に使われており、機械を制御する役割を担っています。

今回は、半導体の概要、役割や種類、現代における半導体需要などについて解説します。この記事を読めば半導体のことがよくわかり、機械の仕組みへの理解を深めることができます。

1.半導体って何?

半導体といえば小さなチップのようなものが思い浮かびますが、それ自体がどのような役割を果たすかわかりづらいですよね。

ざっくりいえば、半導体は「電気を制御するスイッチ」のようなものです。

例えば、電球を電池につないだだけではただ光るだけですが、半導体を使うことによって、好きな時に光らせたり、消したりできるようになります。

同じように、モーターを動かしたり止めたりするときにも、半導体が電気の流れを制御するスイッチとして働きます。

多くの半導体は「シリコン」という材料で作られています。他にも「ゲルマニウム」や「セレン」「カーボン」などが用いられることもありますが、豊富な資源とその加工のしやすさから、一般的にはシリコンが用いられています。

2.半導体ができることと役割

半導体は私たちが日常で使う電子機器の内部に組み込まれ、機器に指令を伝える役割を担っています。

スマートフォンでアプリをタッチすると、そのタッチの触感をセンサーが感知し、「アプリを開く」という指令をスマートフォンに伝えます。機器のそういったプロセスを制御するのが半導体であり、人間の身体でいえば「頭脳」にあたります。

半導体を機械に組み込むことで、それ以前にはなかったさまざまな「便利さ」が生まれました。例えば、温めることしかできなかったエアコンが、室温に合わせて温度を自動調節できるようになったり、洗浄しかできなかった洗濯機が、洗い・すすぎ・脱水・乾燥までを全自動でおこなえるようになったり……。

さまざまな機器のなかに組み込まれている半導体。その歴史は古く、1940年代に発明された「トランジスタ」に起源があります。

「トランジスタラジオ」といった言葉を聞いたことはありますか?

これはその名のとおり半導体素子のトランジスタを用いたラジオで、それまでの真空管ラジオに変わって大幅な電力低減を実現し、機器の小型化、軽量化を促しました。

その後1960年代にはトランジスタと、電気を蓄えたり放出したりする「コンデンサ」などを一つにまとめたIC(集積回路)が開発されます。さらに複雑な情報処理が可能になったことで、電卓やテレビ、テレビゲームなどの製品が生み出されていくことになります。

こうして歴史をひもとくと、私たちの生活にとって半導体が欠かせないものであることがわかりますね。

3.身近な半導体には何がある?

普段あまり目にする機会がない半導体ですが、身近な機械に組み込まれて重要な役割を果たしています。ご紹介するもの以外にも、TVや冷蔵庫、電子レンジなど、今や生活に関わる電子機器のほとんどすべてに半導体が使われています。今の便利な生活は半導体によって支えられていることがよくわかります。

3-1.エアコン

エアコンのなかには「サーミスタ」という半導体が使われており、温度センサーの役割を担っています。屋内機には室温を検知する室温サーミスタが取り付けられており、設定された温度と室温との差を感知して、暖房・冷房の運転をコントロールします。

また、配管のなかには配管の温度を検知する配管サーミスタ、コンプレッサーのなかにはオーバーヒートを防ぐためのオーバーヒートサーミスタが組み込まれています。エアコンはあらゆる半導体で制御されているのです。

3-2.デジタルカメラ

カメラに使われている半導体は、カメラの心臓部ともいえる「イメージセンサー」。光センサーの一つで、光の強度を検出し電気信号に変換する光量センサーです。

光量センサーがあることで、レンズから入ってきた光を電気信号に変換し、画像データとして起こすことができます。デジタルカメラの画質の良さはこのイメージセンサーのおかげです。

3-3.洗濯機

洗濯機のなかに組み込まれている半導体は、「ボタンを押す」という操作に対して「注水」「洗い」「すすぎ」「脱水」をどのような順序で、どのくらいの時間おこなうかという指令を出しています。

洗濯機に半導体が組み込まれたことで、それまで二槽式であった洗濯機が一槽式となり、全自動が実現されました。

4.半導体の種類

いたるところで活用されている半導体ですが、実はいくつかの種類があります。どのような種類があるのか、例を挙げてご紹介します。

4-1.ディスクリート半導体

ディスクリート(discrete)とは、「個別の」「別々の」という意味をもつ単語です。ディスクリート半導体は「単一の目的のために使われる単一の機能を持つ半導体」のことを指しています。電流をコントロールする「トランジスタ」、電流を一定の方向に流す役割をする「ダイオード」などがこれにあたります。

デジタルカメラの例でご紹介した「イメージセンサー」もディスクリート半導体の一つです。「外からの光強度をイメージデータに変換し送電する」という役割のみを担っており、それ以外の機能はありません。

このように、ある目的のためにその機能だけをもつ半導体がディスクリート半導体です。スマートフォンは一台あたり数十個のディスクリート半導体が使われており、それぞれの役割を組み合わせて動作しています。

4-2.光半導体

光半導体とは、その名のとおり光を扱う半導体の総称です。身近なものではLEDライトがイメージしやすいでしょう。LEDライトは「発光ダイオード」とも呼ばれ、それ自体が半導体の一つです。電気の流れを光に変える働きをします。

逆に、光を電気に変える光半導体もあります。例えば赤外線通信においては、赤外線を受けてそれを電気信号に変える「フォトトランジスタ」と呼ばれる半導体が活用されています。

4-3.集積回路(IC)

「集積回路」とは英語で「Integrated Circuit」。略して「IC」と呼ばれます。半導体基板の上に「トランジスタ」や「コンデンサ」などの部品を組み合わせ、さまざまな機能を持たせた電子部品です。

身近なものでは、クレジットカードや交通系電子マネーなどのICカードがあります。クレジットカードの表面にある金色の四角い部品は「ICチップ」と呼ばれます。このICチップがカードリーダーと通信をおこない、カードリーダーからの問い合わせに対して回答をすることで機能します。

カードリーダーとのやり取りのなかで「認証」や「機能のロック」といったアクションを起こせるのは、ICチップ内の半導体がさまざまなアプローチに対して自分で考えて命令を出せるからです。

他にも、コンピューターや外部記憶装置のデータの記憶をする「メモリ」や、演算や命令をおこないパソコンなどの頭脳部を担う「ロジックIC」など、ICは複雑で多岐にわたる動作をおこなうことができます。

5.コロナ禍における半導体不足

新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大したことにより「新しい生活様式」が提案され、高機能のノートパソコンやスマートフォン、家電などが以前にも増して求められるようになりました。

ノートパソコンに搭載されるIC「PMIC」は、コロナ禍以前の5Gへの移行ですでに需要が極めて高く、品薄状態に。それに加えて、「おうち時間」を充実させるための大型テレビに内蔵される「DDIC」、公共交通機関を避けるために需要が上がった自動車に内蔵される「MCU」など、あらゆる製品に必要な半導体の需要が急増し、製造が追いつかない状況となりました。さらに、入国制限や感染拡大による工場閉鎖などにより、半導体の供給は停滞。2023年3月現在、高い需要に対して供給が滞っていることで、深刻な半導体不足に陥っています。

半導体が足りないと、半導体を用いるあらゆる製品の製造ができません。新車を購入しても納車まで何ヵ月もかかったり、家電の価格が跳ね上がったりと、生活に影響が出ています。

日本政府はこの状況に対し、日本国内の半導体工場に中長期的な支援を実施し、工場基盤の強化を図ることで国内の半導体生産能力を強化しようとしています。

6.半導体を取り巻く情勢と業界の今後

今や「半導体を制する者は世界を制す」といわれるほど、半導体は社会や国の進展に重要なものとなりました。その一方、2022年11月に世界半導体統計が発表した市場予想によると、インフレの進行や不景気による個人消費などの弱まりから、2023年の半導体市場は縮小傾向になると発表されています。

日本においても、開発競争の激化により過去40年で半導体の世界シェアは40%減。アメリカや韓国の大手企業に後れをとっている状況です。これに対し政府は、日本の半導体産業の復活を目指し、以下のような戦略を立案しました。

  • 他国に製造を任せていたロジック半導体の製造を復活
  • さまざまな半導体の供給力強化
  • 製造装置や素材の分野を磨き国際競争力を高める

つまり、国内における製造力を高め、さらに新しい素材や分野を開発していくことを国家の目標にしたということです。

半導体はこの数十年にわたり世界中で開発が進められ、その多くは微細化を目指してきました。しかし、ここにきて微細化の限界点に到達しつつあり、今後は半導体を上に重ねていく「3D化」が進んでいくと予測されています。

半導体開発が変革期を迎えるという今、日本では国を挙げて半導体の製造・開発に力を入れているため、未来の展望が大きい分野であるといえるでしょう。

以下の記事では半導体工場について詳しく解説しています。併せてご覧ください。

7.まとめ

職場でよく目にする機械や部品でも、どのような仕組みや役割か説明しようとすると意外に難しいものです。しかし、その仕組みの裏では必ずといって良いほど半導体が活躍しています。

半導体は、現代のものづくりの現場において重要なキーワードです。身近な電子機器のあらゆるところに半導体が使われており、そのおかげで私たちは便利な生活を送ることができています。

また、その技術は今も世界各国で高まり続けています。半導体があることで人間の生活はこれからもより便利に、より豊かに進展していくでしょう。

UTグループでは、半導体の製造業界で一緒に働く仲間を募集しています。高卒や大学中退された方でも、やる気がある方を積極的に採用しています。

充実した研修制度もありますし、まったく知識がなくても大丈夫です。現場には先輩社員もいるので、仕事中わからなくなってもすぐに相談できます。

まずは「応募」していただき、面接まで進んでいただければ、どのような感じで働くのかなど詳しくお伝えします。皆さんからの質問にもお答えいたしますので、まずは「応募」してみてください。

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