工場の仕事図鑑
更新日:2023年05月30日

機械組立とは?仕事内容と役立つ資格、仕事の魅力と大変な点も紹介

機械組立とは?仕事内容と役立つ資格、仕事の魅力と大変な点も紹介

※この記事は6分30秒で読めます。

「機械組立ってどんな仕事?」
「機械組立で働くメリットは?」
など、機械組立の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

機械組立は、設計図などをもとにしてさまざまな機械を組み立てる仕事で、場合によっては納品やその後のメンテナンスまで担うケースもあります。

今回は機械組立の概要と仕事の流れ、役立つ資格や向いている方、不向きな方の特徴などについてご紹介します。この記事を読めば、機械組立のことがよく分かり、機械組立の仕事をしている姿をイメージできるようになります。

1.機械組立とは?

機械組立とは、設計図などをもとにして工業用機械や電気機器などの機械や部品を組み立てていく仕事のことです。組立作業のうちの一つで、機械を組み立てる作業のことを「機械組立」と呼びます。

扱う機械の大きさは工場によってさまざまで、数百グラムという小さな機械を担当することもあれば、数トン単位の大きな機械を担当することもあります。機械の中の部品の組立だけをおこなう場合もあれば、部品の組立から製品の組立までをおこない、製品を完成させる場合もあります。

メインの仕事は機械を組み立てることですが、職場や担当によっては検品作業や納品までも任されることがあります。求人情報によっては「機械組立」ではなく「組立」や「組付け」と記載されている場合もあるため、求人を探す際には注意しましょう。

関連記事以下の記事では、組立作業について詳しく解説しています。

2.組立作業の仕事内容

組立作業の仕事内容は、大きく2種類に分かれます。レーン作業のように組立の一部分だけを担当するものと、部品から完成までを担当するものです。それぞれについて特徴をご紹介します。

2-1.組立の一部分だけを担当するケース

自動車など部品が多い物を大量生産する機械を作る企業の場合、ライン作業で組立の一部分を担当することになります。細かく仕事を分け、流れ作業で機械を作っていくため効率がよく、大量生産が可能です。

2-2.完成まで組立を担当するケース

医療機器機や農業機器など、特定分野で高度な専門知識が必要とされる機械を生産する企業では、完成まですべての組立を担当するケースが多くなっています。

組立においては専門知識や技術が重要です。負担は大きいものの、組立から完成まで担当することで知識が増え、その分野でのスペシャリストになれる可能性を秘めています。

3.機械組立の仕事で活躍できる工場とは?

機械組立の仕事はさまざまな分野の工場にあります。機械組立の仕事はご紹介する工場以外にもあるので、自分の興味のある分野で探してみるのも良いでしょう。

3-1.自動車メーカー

自動車のエンジンやバッテリー、内装やボディなど多種多様な部品を扱います。

3-2.医療機器機メーカー

専門性の高い医療精密機械を組み立てます。大きめの検査機器を組み立てる場合もあれば、注射器や点滴パックなどの細かい部品を組み立てる場合もあります。

3-3.精密機器メーカー

さまざまな分野の精密機器を組み立てます。精密さが重要になるため、研磨機などを使って細かい調整までおこないます。

3-4.農業機器メーカー

農業機器に特化した組立をおこないます。コンバイン用カッターなどの比較的小さなものから無人精米機などの大きなものまで、さまざまな種類のものを組み立てます。

4.機械組立作業の流れ

ここでは、機械組立作業の具体的な流れを見ていきます。全体の流れとして、以下の7つに分けることができます。

<機械組立作業の流れ>

  • 必要部品の準備
  • 組立作業・検査
  • 配線作業・確認
  • 芯出し作業
  • 自動運転確認
  • 出荷
  • メンテナンス

次項からは、各段階について詳しくご紹介していきます。機械組立はどのような流れでおこなわれるのか、しっかりと把握しましょう。

4-1.必要部品の準備

まずは必要部品の準備。部品を集めるところから始まります。図面を確認し、完成品とおおよその手順をイメージしたら、必要な部品を確認します。必要部品が把握できたら、倉庫などに部品を揃えに行きます。

いきなり作業に取りかかろうとしても、うまく作ることはできません。なんとなくではなく、きちんとイメージを膨らませ、自分のなかに完成図をもって作業をはじめることが大切です。

4-2.組立作業・検査

部品が全部揃ったら、揃った部品を組み立てていきます。図面を見ながら正確に組み立てます

組立作業が終わったら次は検査作業です。図面と違うところはないか、寸法は正しいかなど丁寧に確認していきます。思い込みで作業している恐れもあるため、ミスを見逃さないようにきちんと検査をすることが重要です。

4-3.配線作業・確認

組立がおわったら配線作業に入ります。この工程が作業者の腕の見せ所です。図面上の配線は見やすさを重視して書かれており、実際の配線とは異なる部分があるためです。それを読み解き、実際の基盤上でどのように配線するかは、作業者の実力にかかっています。

配線ができたら手動で実際に電気を流しての確認作業にはいります。製品にきちんと通電するか、配管や配線経路に間違いがないか、しっかりチェックとチェックします。

4-4.芯出し作業

配線作業の次は芯出し作業です。「芯出し」とは、2つ以上の機器をつなげる際に、それぞれの軸が同一直線状になるように位置の調整をする作業のことです。高い精度が求められる作業で、具体的には3/100~5/100mm以内の精度で各機器を調整する必要があります。

芯出しの不備は破損の原因や製品の寿命の短さにつながってしまうため、特に丁寧な作業が求められる工程です。

4-5.自動運転確認

ここまでの工程が済むと、製品の自動運転が可能になります。次は自動運転の確認作業です。実際に製品を作動させることで、問題なく作動するか、出来栄えに問題がないかをチェックします。

製品に問題がないことがわかったら最後の仕上げです。部品の研磨などをおこない製品を完成させます。最後の仕上げではありますが、仕上げ技能士という資格が存在するくらい大事な工程です。最後の最後まで気を抜くことなく作業することが求められます。

4-6.出荷

製品が完成したらいよいよ出荷です。

組立の仕事では、納品や設置、現地での最終調整や動作確認まで担当することもあります。組立を一からおこなった担当者は、その製品についてもっとも熟知している、いわば「プロフェッショナル」といえる存在になるためです。

4-7.メンテナンス

納品がおわっても機械組立の仕事は続きます。工場でのチェックでは問題がなくても、現地の状況や使用時間によってトラブルや故障が生じる可能性もあり、そのメンテナンスも機械組立の仕事の一つであるためです。

作って終わりというわけでなく、その機械が問題なく稼働し続けることができるようサポートを続けていく必要もあるのです。

5.機械組立に役立つ資格

機械組立の就職は無資格でも可能です。しかし、就職する企業や担当によっては資格が必要だったり、優遇されたりすることがあります。

例えばクレーンやフォークリフトの資格を持っていると、大きな機械を扱う現場で重宝されます。機械組立関連の国家資格としては、以下の4つがあります。

<機械組立に役立つ国家資格>

  • 仕上げ技能士
  • 機械検査技能士
  • 機械保全技能士
  • 油圧装置調整技能士

この4つの国家資格について詳しくご紹介します。

5-1.仕上げ技能士

仕上げ技能士とは、工作機械や手工具による機械の仕上げなどに関する技能の国家資格のことで、特級・1~3級に分かれています。難易度としては3級が比較的難易度が低く、他は中程度の難易度です。

受験資格はそれぞれの級で異なります。

  • 3級…受験資格不問
  • 2級…実務経験2年以上または3級合格者
  • 1級…実務経験7年以上か2級合格後2年以上または3級合格後4年以上の実務経験
  • 特級…1級合格後5年以上の実務経験

試験は作業試験と学科試験があり、そのなかでも1級と2級には治工具仕上げ、金型仕上げがあり、1級~3級には機械組立仕上げがあります。

機械組立仕上げでは、やすりなどを用いた高い精度の加工と組立技術が必要とされます。総合的な仕上げの知識と技術が求められる国家資格です。

5-2.機械検査技能士

機械検査技工士とは、測定機器を用いて機械部品の検査をする技術に関する国家資格で、特級・1~3級に分かれています。

難易度は、2級と3級が比較的簡単で、特級と1級は中程度といわれています。各級の受験資格は次のとおりです。

  • 3級…受験資格不問
  • 2級…実務経験2年以上または3級合格者
  • 1級…実務経験7年以上か2級合格後2年以上または3級合格後4年以上の実務経験
  • 特級…1級合格後5年以上の実務経験

試験は作業試験と学科試験に分かれており、作業試験ではさまざまな機器を使用した測定の技術が求められます。特に特級では、監督者として活躍できるだけの知識と技能が必要とされています。

5-3.機械保全技能士

機械保全技能士は機械のメンテナンスに関する国家資格で、特級・1~3級に分かれています。難易度は2級と3級が比較的簡単で、特級と1級は中程度です。

各級の受験資格は次のとおりです。

  • 3級…受験資格不問
  • 2級…実務経験2年以上または3級合格者
  • 1級…実務経験7年以上か2級合格後2年以上または3級合格後4年以上の実務経験
  • 特級…1級合格後5年以上の実務経験

試験は作業試験と学科試験に分かれています。

実際の仕事では、工場内の機械の正常な動作を維持し、工場全体の機械を保全する技術が求められます。資格手当を設けている企業が多く、収入アップにつながる資格です。

5-4.油圧装置調整技能士

油圧装置とは油圧ポンプの圧力によってモーターを作動させて動かす装置のことで、油圧ショベルやフォークリフトなどに使われています。油圧装置調整技能士とは、その油圧装置の調整技術を認定する国家資格のことで、特級・1~2級に分かれています。

受験資格は次のとおりです。

  • 2級…実務経験2年以上(学歴により実務経験不要)
  • 1級…7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験(学歴により実務経験年数が異なる)
  • 特級…1級合格後5年以上の実務経験

試験は学科試験と実技試験に分かれています。

油圧装置はあらゆる機械に用いられており、その装置の不良は生産性の低下に直結します。そのため油圧装置調整技能士は工場において欠かせない存在で、さまざまな分野で活躍することができます。

油圧装置の需要は海外でも伸びており、将来的にも高い需要が見込まれます。

6.機械組立の仕事の魅力

ここでは、機械組立の仕事の魅力についてご紹介していきます。機械組立の魅力はいくつかありますが、特に魅力的なのは以下の2つです。

<機械組立の仕事の魅力>

  • 収入が安定している
  • ものづくりの楽しさを味わえる

この2つの魅力について、詳しく見ていきましょう。

6-1.収入が安定している

機械組立の仕事は、収入が安定しています。機械を正確に組み立てて維持する高い技能が求められているため、技術を付けてしまえば、安定して収入を得ることができます。

業界の平均年収は約430万円と平均よりもやや高めです。32歳前後になれば年収500万円前後が見込め、平均以上の収入を得る可能性がとても高いです。

機械組立の仕事は年々平均年収が上がっており、将来性を期待できる仕事であるといえるでしょう。

6-2.ものづくりの楽しさを味わえる

機械組立の仕事は、多くの方と協力して製品を作り上げていきます。他の方が作業しているのを眺めることで、徐々に機械が形になっていくことを実感することができます。

また、自分一人で組み立てる場合も、自分が苦労して組み立てた機械が立派な形になって動き、店頭やお客様のところに届くと考えると、まるで我が子を送り出した親のような気分に浸ることができるかもしれません。

機械組立の魅力は、ものづくりの楽しさを純粋に実感できることだといえるでしょう。

ものづくりの仕事に興味がある方は、こちらの記事も参考にしてください。

7.機械組立の大変な点

機械組立は、とてもやりがいがあって魅力的な仕事ですが、良いことばかりではなく大変な点も存在します。機械組立の仕事の大変な点としては、以下の2点が挙げられます。

<機械組立の大変な点>

  • 肉体的な負担が大きい
  • 手先の器用さを求められる

次項では、この2点について具体的な例を挙げてご説明します。

7-1.肉体的な負担が大きい

機械組立の仕事は、肉体的な負担が大きいです。 繰り返し同じ態勢で作業するため、身体が痛みやすく体力と根性が必要とされます。

慣れればスムーズに作業することができるようになり精神的負担が減りますが、それまでは身体の負担が大きい状態で単純作業をミスなく延々と続けることに対して、精神的に参ってしまう可能性があります。

特に大型の機械の場合、パーツ自体の重さによっては扱うだけで疲れてしまうことがあります。体力に自信がない方にとって機械組立の仕事をこなしていくことは、相当な覚悟が必要であるといえるでしょう。

7-2.手先の器用さが求められる

機械組立の仕事は小さな部品を取り扱うだけではなく、作業そのものが細かいです。 そのため、手先の器用さがないとうまく作業をこなすことができません。

手先が器用ではなく細かい作業が苦手な方の場合は、毎日の仕事が苦痛になる可能性があります。逆に手先が器用で細かい作業が好きな方にとっては機械組立の仕事に向いているといえます。

手先の器用さは、機械組立の仕事をするうえで大きな影響を与えるといえるでしょう。

8.機械組立に向いている方

機械組立はものづくりの楽しさを味わえる仕事である一方、細かい作業を長い時間続けることが求められる仕事でもあります。そんな機械組立の仕事には、どのような方が向いているのか解説します。

8-1.集中して物事に取り組める方

組立作業は集中力が必要で、ときには同じ細かい作業を何時間も続けておこなうこともあります。細かい作業が苦にならない、集中して黙々と仕事に取り組める方は機械組立の仕事に向いているでしょう。

8-2.向上心のある方

機械組立は作業しながら自分の技術を磨いていく必要のある仕事です。どうやったら早く組み立てられるか、どうすればミスしないかなど、効率化を意識できる方や、仕上がりをいかに美しくするかなどを自分で追及できる向上心のある方も機械組立の仕事に向いています。

8-3.手を動かすことが好きな方

何かを作ったり手を動かしたりすることが好きな方も機械組立の仕事に向いています。ものづくりに限らず、DIYでも料理でもゲームでも、手を動かして何かをするという行為が好きであれば、それが機械組立の仕事の適性につながる可能性は十分にあります。

8-4.機械が好きな方

機械組立は簡単にいえば機械を作ることですから、機械が好きな方にとってはうってつけの仕事といえるかもしれません。自分が好きな機械を基盤から組み立て、完成までもっていくこと。それを楽しくできるのであれば、機械組立の仕事に向いているはずです。

9.機械組立に向いていない方

仕事には向き不向きがあるため、どうしても機械組立の仕事に向いていない方もいます。次に紹介する傾向がある方は、機械組立の仕事に興味があっても、もしかしたら仕事自体に向いていないかもしれません。

9-1.飽きっぽい方

機械を組み立てる作業には集中力と根気が必要です。作業に慣れるまでは特に神経も使うでしょう。飽きっぽい性格ですぐに投げ出してしまうような場合だと、機械組立の仕事には向いていないかもしれません。

9-2.学ぶことが苦手な方

機械組立は工程の多い作業です。そのぶん覚えることや習得しなくてはならない技術もたくさんあります。そのため、新しいことを学ぶことが苦手と感じる方は機械組立の仕事は向いていないかもしれません。

10.まとめ

機械組立は機械の組み立てだけをおこなうのではなく、調整や納品、メンテナンスなど、機械に関わること全般を任される責任のある仕事です。学ぶことが多く大変ですが、そのぶんやりがいもあり、ものを作り上げることの楽しさも実感できます。

機械組立の仕事に興味があり、自分に向いているかもしれないと思う方は、機械組立の求人に応募してみてはいかがでしょうか。面接まで進んでいただければ、どのような感じで働くのかなど詳しくお伝えします。皆さんから質問にお答えいたしますので、まずは「応募」してみてください。

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