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職人の逸話

リニアモーターカーの「顔」を作った現代の名工・国村次郎の仕事術

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更新日:2018年04月20日

    最近では平べったい「カモノハシ型」が主流となった新幹線の先頭車両。最新型の「こまち(E6系)」や「はやぶさ(E5系)」の流線カーブは、撮り鉄ならずとも胸を熱くさせる美しい曲線を描いています。この「顔」とも言える先頭車両の美しいカーブは、人の手によって作られていることを知っていますか?

     

    新幹線やリニアモーターカーの先頭部分を作っているのは、ハンマーを使い金属の板を曲線に打ち出す板金(ばんきん)職人たち。コンピューターや機械では、設計図に忠実な形を作り出すための細かな計算や力加減が難しいのです。中でも国村次郎(くにむら じろう)さんは、板金の打ち出しで高度な技術を持つ「現代の名工」と言われています。

     

    50年にわたってハンマー1つで腕を磨いてきた国村次郎さんの流儀と、名工の技を紹介します。


    現代の名工を生んだパワーワード「できないとは言わない」

    国村さんは、板金職人として17歳から50年間にわたって、ハンマー1つで多くの車両を作り出してきました。

     

    彼が「現代の名工」になるきっかけは、今から40年以上前のある日、国村さんがいる会社へリニアモーターカーの先端部分を作る大仕事の相談がやってきたことにあります。

     

    リニアモーターカーML500は、1977年(昭和52年)に1台だけ試作された、時速500kmで走る無人実験車両です。

     

    使用するジュラルミン素材は、反発力が強いためハンマーで叩いても思うような形になりません。しかし、設計図に忠実な形を打ち出さなければなりません。

     

    当時の小さな町工場の仕事は、メーカーからの下請けが中心です。

     

    「できないと言えば、明日の仕事がなくなる。だから、できないとは言わない」

     

    その信念を胸に、国村さんは3日がかりで黙々とハンマーを打ち続け、リニアモーターカーの美しいカーブの「顔」を完璧に作り出したのです。

     

    こうした実績をつみ重ねることで、国村さんは国が定める「現代の名工」として2008年に認定されました。

     

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    「思わず触りたくなる」と言われる曲線美はどのように生まれるのか

    国村さんが板金の道に入ったのは17歳の時。入社したのは山口県の小さな町工場「山下組(現・山下工業所)」です。最初は、先輩板金職人たちの腕を見て「自分には無理だ」と尻込みしてしまったといいます。

     

    打ち出し板金の技術は、見よう見まねの独学です。国村さんは、17歳の時からずっと、この会社で腕を磨き続けてきました。

     

    50年にわたって金属を打ち出し続けてきた国村さんが作る曲線は、早く正確です。

     

    金属の板から、正確な曲線を作りだすためにハンマーで打つべき箇所は、ただ一点のみ。その一点の集合体が、正確な曲線を作りだします。その正確さと速さから、国村さんはほかの職人の半分の時間で仕事を終わらせます。

     

    NHKのテレビ番組で国村さんの仕事ぶりを目の前で見学した脳医学者の茂木健一郎さんは、「戦慄を覚えた」と賞賛しています。

     

    右手に持ったハンマーで金属板を打ち、次の点へ左手で動かしていきます。そして、ときどき手を止めて、左手で表面を何度も確かめながら再び無心に打ち続ける…機械で再現するには複雑すぎる動きを、国村さんがいとも簡単に行うためです。徹底的なこだわりと長年の積み重ねがあってこそ、実現できる匠の仕事です。

     

    仕上がった金属板の曲線は柔らかく、なめらかな形をしています。まるで金属ではなく生き物…女性の曲線美にも通じる優しくて美しい丸みが生まれます。

     

    「人間の手で打つから、やわらかい感じがでるのでしょう」と国村さんは話します。

     

    まとめ

    一流の職人に必要なのは、才能でも情熱でもなく「辛抱」と国村さんは語ります。
    できないかもしれないことを「できる」と言い、どうやったらできるかを工夫して無心に打ち続けること。その繰り返しが作業時間を半分に短縮し、ほかの人にはマネできない美しい“ものづくり”を実現するのです。

     

    現在、国村さんは次の世代の板金職人を育てています。
    新人にはまず、仕上がるまで作らせます。最後までやりきることを覚えることで、「できないとは言わない」というプロとしての仕事が身につくと、国村氏は考えています。
    こうして、現代の名工が持つ高い技術は引き継がれ、未来の新幹線の顔と、ものづくりの夢を作っていくのでしょう。

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